不妊College -データに基づく不妊治療の基礎知識―

監修:栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長 齊藤英和 先生

「子どもを持ちたい」と思いつつ、なかなか妊娠しないカップルは、7組に1組といわれています。日本では、2020年1年間で、高度な不妊治療(体外受精に代表される生殖補助医療(ART)のこと)といわれる技術が のべ450,000回近く行われ、60,000名以上の赤ちゃんが誕生しました。

このサイト「不妊College(不妊カレッジ)」は、生殖器の構成、不妊症の原因、検査、治療法などを掲載しています。不妊治療において理解できないことや疑問を感じてしまうことがあると不安やストレスにつながる可能性がありますが、より多くの知識を得ることでこれらは軽減すると考えています。そのため、このサイトでは一般の方には難しい専門情報も掲載しています。不妊治療を行っているクリニックなどが運営するわかりやすいサイトから不妊症の知識を得ていただいた上、もう少し詳しい情報が必要になりましたらご利用ください。

不妊症にならないために

不妊症の原因はさまざまですが、日常生活などに問題があり妊娠しにくくなっている女性は多く、不妊症になりにくい生活習慣(禁煙、食生活の改善、ストレスを受けにくい生活など)を身につけることが重要です。しかしながら、もっとも重要なのは「年齢」であり、一般的に20歳台後半より徐々に妊娠しにくくなり35歳を過ぎるとさらに急激に妊娠しにくくなり、40歳を過ぎると出産率はかなり減少します。
欲しい子どもの数と妊活の開始年齢を検討した海外の報告(以下、表)では、「ほぼ確実(90%程度希望が叶う)に子ども1人は欲しい」と希望する女性は、妊活は遅くとも32歳で開始した方がよいとされています。もし子ども2人を望む場合には、遅くとも27歳からの妊活が必要です。この年齢は自然に妊娠する場合を想定していますが、病院やクリニックを受診し体外受精や顕微授精のような高度な生殖補助医療(ART)を受けた場合においては、上記と同様の希望条件下での妊活(受診)開始年齢は遅くとも35歳、31歳となります。これらの年齢を超えると、妊娠の確率は下がっていきます。妊娠可能な年齢を知った上で生活設計を立てていただくことが重要です。

欲しい子どもの数と女性が妊活を開始すべき最終年齢(海外データ)

欲しい子どもの数
子ども1人 子ども2人
自然に妊娠したい場合 達成確率50%
(希望通りかもしれないし無理かもしれない)
41歳 38歳
達成確率90%
(ほぼ希望通り)
32歳 27歳
病院/クリニックを受診し生殖補助医療(ART)を受けた場合 達成確率50%
(希望通りかもしれないし無理かもしれない)
42歳 39歳
達成確率90%
(ほぼ希望通り)
35歳 31歳

HabbemanJD:Hum Reprod 2015:30(9),2215-2221より抜粋

妊活を始めた段階、病院を受診した段階ですでにこの年齢を超えている方もいらっしゃるかもしれません。不妊治療(生殖医療)はめざましい進歩がみられており、35歳以上の高齢の方でも妊娠できる確率は高くなってきています。妊娠できるのだろうかと不安な気持ちで治療するのではなく、不妊症に関する知識を深め、赤ちゃんが授かるだろうと信じて積極的に治療に取り組みましょう。
まずは、妊娠につながるよう生活習慣を見直しましょう。

目次

3. 不妊治療について知りたい

5. 用語解説

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