男性不妊症を診断する
男性の検査は、精液検査が重要です。精液の量、精子の数、運動している精子の数などを調べます。他に、問診、視診、触診、ホルモン測定、染色体検査などが行われます。
精液検査
病院やクリニックから渡された容器にマスターベーションで精液を全量射出します。禁欲期間は長すぎてはいけないので2〜5日程度が多いですが、具体的な期間を指定されることもあるので、病院やクリニックの指示に従ってください。精液の量、精子の数、運動している精子の数などを顕微鏡で観察し、WHOの基準値と照らし合わせて自然妊娠が可能か検討します。
なお、体調やストレスなどで精液の状態は大きく変わるため、よくない結果が得られた場合には2〜3回検査を行うこともあります。
スマートフォンでできる「精子セルフチェック」や郵送での精子チェックもあります。
精液検査の基準値(WHOの基準 2021年)
精液量 | 1.4mL以上 |
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精子濃度 | 1mL中 1,600万個以上 |
精子運動率 | 前進運動精子42%以上(採取後60分以内) |
正常形態率 | 4%以上 |
精液検査と機能障害
無精子症 ・閉塞性無精子症 ・非閉塞性無精子症 |
精液中に精子が1個もみあたらない |
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乏精子症 | 精子の数が少ない |
精子無力症 | 精子の動きが悪い |
精子奇形症 | 奇形の精子が多い |
問診、視診、触診
喉仏(のどぼとけ)の有無、精巣の大きさや左右差、前立腺肥大の有無などを確認します。成人男性の精巣容量は15〜20mL程度と言われており、オーキドメーターで検査します。
オーキドメーターとは複数の精巣のサイズが用意されたものであり、男性の実際の精巣と並べて大きさを確認します。
オーキドメーター
血液検査(ホルモン測定)
血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、プロラクチン、テストステロン(男性ホルモン)などの値を測定します。FSHとLHの両方が低い場合には、造精(精子を造ること)機能が低下しているなど、複数のホルモン値の結果で原因を想定することができます。
男性のブライダルチェック
ブライダルチェックとは、現在の生殖機能や妊娠に影響のある病気などの問題がないかを確認する検査です。
男性の検査すべき項目は以下の通りです。
- 【精液検査】
- 精液の量、精子の数、精子の運動状態などを調べます。妊娠力を測るための基本となる検査です。
- 精液量
- 精子濃度
- 総精子数
- 精子運動率
- 精子正常形態率 など
- 【性感染症検査】(血液採取、尿検査)
- 性感染症がないかを確認します。性感染症は男性不妊やパートナーの不妊、胎児への異常を引き起こす原因となるため早めに調べましょう。
- クラミジア感染症
- 梅毒
- HIV感染症(エイズ)
- 肝炎(B型、C型)など
精液検査は産婦人科のほか、泌尿器科でも調べることができます。
最近では精子のセルフチェックアプリや検査キットがあり、自宅で簡単にセルフチェックすることができます。
検査キットは、キットに入っているレンズの上に自分の精液を付着させ、スマホのカメラの上におくことで、精子の「濃度」と「運動率」を測ることができるようなものなどがあります。
自宅で採取した精子を郵送して検査するタイプもあります。
病院やクリニックに行って検査するのはハードルが高いと感じる方は、手始めにセルフチェックキットを使ってみるのも良いかもしれません。
プレコン・チェックシート(男性用)
プレコンセプションケア(Preconception care)とは、女性やカップルを対象として将来の妊娠のための健康管理を促す取組みです。
男性にもプレコンセプションケアが必要となります。妊娠は女性だけの問題ではないため、男性も以下のリンク先の項目をチェックし、健康維持につとめて妊娠しやすい身体づくりを心がけましょう。
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